文京区障害者地域自立支援協議会　第３回障害当事者部会　要点記録

【日時】平成27年2月19日（木）　午後1時から午後3時まで
【会場】文京シビックセンター3階　障害者会館 会議室C
【出席者】髙山　直樹 （自立支援協議会会長）
志村　健一 （自立支援協議会副会長）
久米　佳江 （身体障害 区民公募）
天野　 亨  （身体障害 区民公募）
土屋　功子 （難病）
石岡 美佐子（知的障害）
竹間　誠次 （知的障害）
小和瀬 芳郎（精神障害）
橋本　淳一（権利擁護専門部会長）
本多　桜子（権利擁護専門部会事務局）
須藤　直子 （障害福祉課長）
以上 11名

１　開会挨拶（小和瀬部会長挨拶）
２　議題
議題1：権利擁護専門部会からのテーマについて意見交換（資料第1号）
アンケートの説明（権利擁護専門部会長より）
今年度、権利擁護専門部会では、障害者の方が、自分の気持ちや考え、困ったことをどこへ話し、どう解決したらよいのかを話し合っている。
何か問題があった時に、相談できるような場所を地域の中にある施設を使って作っていけないかと考えており、当事者委員の皆さんへは、各事例によって、どこに相談し解決するのかまた、情報収集について等の意見を伺いたい。
※事前に送付しているアンケートに沿って各委員に発表していただいた。
※時間の都合上、事例2は発表を省略した。
≪１≫　事例１～３を読んで、もしあなたがこのような立場になった時、どう思い、どのように行動するかを想像して、質問に答えてください。
【事例１】遊園地で係員に、安全を確保するためという理由で、乗り物に乗るのを拒否された。
問１．あなたならどう思いますか。あてはまるものにチェックをしてください。

回答（集計）※複数回答あり
納得できない　５名　特に気にしない　１名　しょうがないとあきらめる　１名　わからないなし
問２．なぜ問１のように思ったのですか。
回答（抜粋）
＜納得できない＞
・他のお客さんの安全が確保されているのなら、私についても同じことが言えると思うから。
・係員に理由説明をしてもらいたい。
・ヘルプマークを身につけていて断られたのだとすると、安全を確保するという理由（義務）は遊園地側にあり、遊園地側の意見が優先されるとも思う。しかし、係員はヘルプマークや精神障害者にどれだけ理解があるだろうかとも思う。
・入場料を払っているのに乗れないと悔しい。楽しみにしていた日が台無しで一日後悔する。
＜特に気にしない＞
・自分の責任で乗れるなら乗るが、他人に迷惑をかけるような場合には、諦めるべきだと思うから。また、家族がアトラクションの係員と交渉して乗せてもらった経験もある。
・係員はそれぞれ障害についての理解や知識がないため仕方ないと思う。
＜しょうがないとあきらめる＞
・遊園地の乗り物は、憲法で移動の自由が保障されている公共交通機関のような移動手段ではないから。

問３．この出来事を相談するとしたら、誰に（どこに）相談しますか。あてはまるものに全てチェックをしてください。
回答（集計）
家族 ３名　区役所 ２名　友人・知人 ３名　文京区社会福祉協議会 ２名　グループホームの世話人 １名　病院 １名　あんしん相談センター １名　相談支援事業所 １名　通っている施設や職場の人 ３名　その他 ２名　民生委員 なし　相談しない なし　その他の回答 障害者団体、遊園地の係員
問４．同じような経験をしたことがありますか。あてはまるものにチェックをしてください。
回答（集計）※複数回答あり
経験したことがある ２名　経験したことがない ４名　わからない なし
（あると答えた方のみ、お答えください）相談した内容は解決しましたか。
解決した １名　解決しなかった １名　わからない なし
＜経験したことがあると回答した委員より＞
・断られた際、家族が交渉してくれたので乗ることができた。
・大型遊園地では、入場に際しての配慮はしてもらえた。しかし、乗り物に乗る際、確認してくる項目がたくさんあったため乗るのを諦めた。
・スポーツジムの会員になろうとしたが、はっきり断られるのではなく、階段が多いとか、担当者が少ないため対応が難しい等の様々な理由を挙げられ、お勧めできないと強く言われたため諦めた。
・盲導犬同伴の入店（特に飲食店）を断られた経験がある。補助犬法により入店できるはずだが、店員の理解が不足しているため、断られてしまったということもあった。
事例1のまとめ
係員の理解・知識不足していることは仕方がないと思うことはあるが、それが理由で断られてしまうことになるのは納得できない。十分な説明が必要である。
断られることについては、はっきりと断られるというよりも、勧めないという言い方をされ諦めていることが多い。

【事例３】初めて行った駅で乗り換えをした時、案内表示がわかりにくく、迷ってしまい、とても時間がかかってしまった。駅の構内は混んでいて、駅員にも聞けない状態だった。
問１．あなたならどう思いますか。あてはまるものにチェックをしてください。

回答（集計）
(わかりにくい案内表示に)納得できない ３名　特に気にしない １名　しょうがないとあきらめる ２名　わからない なし
問２．なぜ問１のように思ったのですか。
回答（抜粋）
＜(わかりにくい案内表示に)納得できない＞
・視覚障害なので、案内表示はまったく見えないが、安全のためにも、点字ブロックなど最低限の設備はしてほしい。点字ブロックが整備されていない頃は、線路に転落する事故が多く起きていて、自分も経験した。
・障害者にとっても、案内表示は重要な情報で、情報が得られないと何も出来ないし、損をしてしまうことが多い。情報につながる権利や情報を得る権利は大切なので、保障してほしい。
・情報の量が多くても混乱してしまうことがあるけれども、わかりやすく情報が伝えられ、得られる必要や権利がある。障害者への案内表示等の整備を考えると、コストはかかるけれども、案内表示の工夫や駅員は多くしてほしい。
・自分１人で出かける場合、目的地に到着出来るように字を大きく書いてもらいたい。ひらがなを書いてほしい。
＜しょうがないとあきらめる＞
・前もって下調べをしていなかった自分が悪いので、諦める。
・駅員も、できる限りは普段から協力してくれていると思う。
・私は、社会に適応できるように、自分でも努力をしているが、どうしても迷惑をかけてしまう場合があり、いつも感謝している。
・運行時間が決められており、混雑している状況では、駅員も対応したくても出来ないこともあるので、仕方がないと思う。
＜特に気にしない＞
・案内表示がわかりにくい所にあるということには気にならないが、駅が混んでいることや、駅員にも聞けないことが気になる。

問３．この出来事を相談するとしたら、誰に（どこに）相談しますか。あてはまるものに全てチェックをしてください。
回答（集計）
家族 ４名　区役所 １名　友人・知人 ２名　文京区社会福祉協議会 １名　グループホームの世話人 １名　病院 なし　あんしん相談センター なし　相談支援事業所 １名　通っている施設や職場の人 ３名　その他 ２名　民生委員 なし　相談しない なし　その他回答・・・鉄道などの事業者や国土交通省などのそれを管轄している役所、その公共交通機関のお客様窓口など
問４．同じような経験をしたことがありますか。あてはまるものに?チェックをしてください。
経験したことがある ４名　経験したことがない ２名　わからない なし
（あると答えた方のみ）相談した内容は解決しましたか。※複数回答あり
解決した ４名　解決しなかった ２名　わからない なし
＜経験したことがあると回答した委員より＞
・初めて行った駅でわからなくなってしまい、ぐるぐると駅構内を歩き回ったことがある。なんとか自力で解決した。
・駅の乗り換えはとてもわかりづらい。駅員だけでなく、周りに人に聞いている。駅構内だけでなく、どの出口から出ればよいのかわからないことが多い。
＜その他 委員意見＞
・駅構内を走る人達がいてとても危険を感じて怖い。
・視覚障害者へは、肩に触れるなどして声をかけて案内してもらえるとありがたい。
・視覚障害者でも点字が読める人と読めない人がいるが、点字のインフォメーションがあるのは便利である。ただ、それが設置されていること、設置されている場所のインフォメーションも必要。
事例３まとめ
前もって調べてから利用するなど自分自身で考えることも必要だが、わかりやすい案内表示や情報が得やすいようにしてほしい。
混雑時に駅員に聞けないのは仕方がないとも思うが、最低限の整備や案内表示がされていないと、危険であるし、不便である。

≪２≫　生活する上で必要な福祉サービスや医療の情報は、どうやって知りますか。
回答（抜粋）
・文京区のお知らせ（区報）や家族が調べてくれる。また、区の障害福祉課に相談したこともある。
・同じ障害を持つ友人や、障害者団体、区報やインターネットなど。
・施設の職員や支援員
・インターネットを自宅に繋いでいないので、インターネットで調べることはまずない。
区はよく、「ホームページをご覧ください」と言う事もあるが、自宅のパソコンのオンライン化に不安を感じている。また収入が少ないので、経費はかけられず、ITが苦手である。
・区役所の人に、福祉サービスの情報を教えてもらって、今のホームに入所した。
・医療に関しては、毎月病院に行った時に聞く。
＜その他 委員意見＞
・家族がいない人や、調べることが難しい障害者は多くいると思うので、もっとサービス内容は能動的に障害者に伝えるシステムが必要だと普段から感じている。
・音声読み上げを利用しての情報収集と点字での情報収集の違いについて。
音声読み上げは、沢山の情報を得ることができるが、点字は、知りたい情報を自分で選んで得ることができる。しかし、点字の場合、情報が詳しく記されていないものもあるため、必要に応じて使い分けている。
まとめ
福祉サービスについては、区報や区役所から情報を得ることが多い。
病院などの情報については、病院や施設、同じ障害を持つ仲間との情報交換により得ている。

＜自由記述＞　このアンケートに答えて、感じたことなどを自由に書いてください。
回答（抜粋）
・障害者と健常者のコミュニケーションに関するアンケートだと思うが、障害者は、自分の障害と同じグループに固まってしまい、もっと、健常者との関係作りにも努力することが必要だと思う。お互い遠慮しがちになってしまい、お互いの理解が不足していることが、今回のアンケートの本質ではないかと感じた。
・個々に障害は違うので、生活する上で必要とする事は、各自相談するとよいと思う。
・障害があることで、情報を受け取ることが難しい反面、その情報を使って先回りするような感じで計画を立てて行動することが求められるように感じた。
・自分は障害者の権利意識が高く、障害者の中でもあまりない個性を持っていると改めて感じ、気付いた。
・今回は、事例のアンケートで頭の中で想像しやくすてわかりやすかった。
・頭で想像して考えるのが難しかった。
【権利擁護専門部会より】
・相談する相手として回答が多かった家族だけでなく、相談支援事業所や社会福祉協議会へ相談できるようルートができるとよいと思う。
・支援する立場として、待っているだけでなく、能動的に動くことが大事であると感じた。
【自立支援協議会会長より】
・安全は、自分自身で守ることがまずは大前提である。自身の障害でその乗り物が安全に乗れるかどうか考えて判断することも必要。
・配慮をしてもらえれば乗れる（合理的配慮）のに、障害があることだけが理由で乗り物が乗れないことは差別である。
・合理的配慮については、広く訴えていくだけでなく、それぞれの障害の視点から、合理的に配慮がされたものであるかの判断をしていく必要もある。

【議題２　障害当事者部会の振り返り】
障害当事者部会に参加しての感想や意見
回答（抜粋）
・障害の（部会）では、仕事に就けない人もいるので、議題には偏りがないように配慮してほしかった。
・自分の障害の事ばかりではなく、それぞれの方々が障害を持ちながら日々の生活を聞かせくださり、とても参考になり、よかった。
・当事者部会は創設されて２年目が終わる。平成２７年度の役割や回数が変わらないのは仕方ないが、将来は部会の存在意義や存在理由をビジョンを持って考えて、役割や回数や委員の人数なども再考願いたい。
・施設や病院からの在宅移行に留まらない、地域移行のことも扱ってほしい。
・今まで知らなかったメンバーとも一年間通して意見交換が多少できた。
・障害当事者部会に参加してドキドキした。
・今まで人が怖いと思ったけど、障害当事者部会に参加したことで少し怖くなくなったことがよかった。
【自立支援協議会会長より】
・区民や地域に向けて障害についての様々な事に気がついてもらえるよう、例えば、障害者の生活の難しさや、どんな配慮が必要なのかなど町に出て調査・検討したことを発信し、伝えていけたら理解も深まりよいと思う。

３　その他　権利支援専門部会報告及び今後の予定について　（資料第2号）
　＜第3回権利擁護専門部会＞
平成27年3月11日（水）午後6時30分～8時30分　シビックセンター3階 B会議室
・権利擁護専門部会との意見交換の結果報告
久米委員と土屋委員が出席し、意見報告をしていただく。

＜第3回文京区障害者自立支援協議会（親会）＞（平成27年3月中旬から下旬予定）
平成27年3月25日（水）午前10時～正午　シビックセンター24階 区議会第一委員会室
・各専門部会との意見交換の結果報告
障害当事者部会の部会長が出席し、報告をしていただく。
　　＜平成27年度 障害当事者部会について＞
　・障害当事者部会の事務局が、平成27年度から、障害福祉課から障害者基幹相談支援センターへ変わる。
・障害当事者部会の役割や部会の回数は、変わらない。
以上