文京区障害者地域自立支援協議会 第3回障害当事者部会 要点記録 【日時】平成26年1月16日(木) 13時から15時まで 【会場】障害者会館A・B会議室 【出席者】志村 健一(自立支援協議会副会長) 久米 佳江(区民公募) 宮下 みほ(区民公募) 土屋 功子(だんござかハウス推薦) 石岡 美佐子(小石川福祉作業所推薦) 小和瀬 芳郎(エナジーハウス推薦) 竹間 誠次(権利擁護部会推薦) 橋本 淳一(権利擁護専門部会長) 横森 優(権利擁護専門部会事務局) 渡邊 了(障害福祉課長) 以上 10名 1 開会挨拶 (志村副会長挨拶)  2 議題 【議題1:部会長について(資料第1号)】 今年度最後の部会となるため、欠席者がいるが、部会長を決定することとする。 立候補により小和瀬委員を部会長とし、3月の親会にて今年度の障害者部会の報告をしていただく。 部会長の役割については、 @ 部会の代表者として、親会での部会検討結果を報告すること A 障害当事者部会で他の専門部会と意見交換した内容や結果について、その専門部会に出席して報告をすること    以上の2点を、資料第1号の中で事務局提案として記載したが、Aについてはこれまで通り、部会長に限らず出席可能な委員が交代で行うこととなった。また会議の司会進行については、引き続き自立支援協議会副会長が行う。 よって、部会長の役割は、部会の代表者として、親会での部会検討結果を報告することとする。 ≪小和瀬障害当事者部会長より、一言≫  障害当事者部会が始まって1年目ということで手探り状態ではあるが、頑張りたい。 【議題2:権利擁護部会との意見交換】  ○橋本権利擁護部会長より、事前アンケート等についての説明 権利擁護とは、自分で伝えることが難しい方に対してその方の気持ちを聞きながら、その方の権利を主張したり、意思を決めることを支援することだと考えている。   権利擁護専門部会では、障害者の権利擁護や権利侵害、地域のネットワーク作りについて話し合っており、障害のあるなしに関わらず、自分の考えや気持ちを伝えることが大切である。今回事前のアンケートで、当事者委員の意見を聞き、これをもとに権利擁護部会にてさらに話し合っていきたい。  事前アンケート問1〜4「日常生活の中で嬉しかったこと・嫌だったこと」についての委員意見 (時間の都合上、アンケートの1番と4番についてのみの発表)       ≪問1 バスや電車を利用するとき、嬉しかったこと、嫌だったこと≫   ●嬉しかったことについて    @ヘルプマークをつけて都バスに乗ったときのこと。終点で降りる際、通路の反対側の方が”お先にどうぞ“とばかりに手を差し出してくれた。ヘルプマークを見たからなのか、それとは関係なく親切に接してくれたのかは分からないが、嬉しかった。 A 自分は足が悪いが、席を譲ってくれたり、乗り降りの際にゆっくりどうぞと声をかけてもらったこと。 B 運転手や職員が嫌な顔せずにスロープを出してくれたり、スムーズに連絡調整してくれること。 C バスの中で友人に会って話が出来たこと。 D バスの券をなくしたときに、誰かが拾って届けてくれたこと。 E 電車に乗らないときでも、改札内のトイレを貸してくれたこと。   ●嫌だったことについて @都バスでヘルプマークをつけていたら、周りから白い目で見られたような気がした。精神科障害者への理解が不十分に思う。 A バスではベビーカーが多いと、足の悪い自分たちは降りられなくなってしまうため困る。また、バスは比較的席を譲ってもらえるが、電車では優先席であっても健常者が譲ってくれず困る。 B B-ぐる利用時、運転手に「混んでいるので(車いすが)乗れるスペースがない」と言って通過されることがある。 C 三田線の春日駅はエレベーターが未設置のため、エレベーターのあるシビックセンターまで遠回りする必要があり、車いすでの外出が大変不便。また、設置されていても乗換がスムーズでなかったり、片道で8回も乗換が必要だったりと、外出自体を断念することがある。 D 電車待ちの際、自分は列に並んでいるのに、割り込まれたことが嫌だった。 E 複数の行先があるバス停で、どこに並べばよいか分からず困った。とりあえず並んでいたが、乗車の際に「後ろに並んでください」と言われたことが嫌だった。   ●公共機関についてのその他の意見    @優先席では、見た目だけでは障害があると分からない人は座りにくいのではないかと感じる。 A バスなど狭いスペースでは特に、ベビーカーは畳むものでは?と思う。      ≪問4 「学校、職場、施設、病院などでの周りの人たち、家族とのやりとりで嬉しかったこと・嫌だったこと」についての委員意見≫   ●嬉しかったことについて @ 精神科病院に入院中、退屈していた自分を看護師が気遣って外へ連れ出してくれたこと。 A 障害を負った私に夫はよく話を聞いてくれるし、周りの人も気を遣ってくれたり優しくしてくれるので嬉しい。 B 9割くらいの方は親切にしてくれる。自分が説明する以上に理解してくれると感じることもある。 C 職場のみんなが仲良くしてくれること。 D 学校で勉強を教えてくれたこと。 ●嫌だったことについて @ 利用している施設にて、自分の障害の症状から感受性が高まり、対人関係を悪くしてしまったこと。 A 「きちがい」という言葉について。一般的にこの言葉が使われているのを聞くと、嫌な気持ちがする。 B 周りの人に気を遣ってもらってばかりだと、こちらも疲れてしまう。自分でできることは自分でやりたい。 C 9割の方が親切にしてくれるのに対し、残り1割程度の方からは心ない言葉を言われ傷つく。特に混んでいる場所等でどなられたり、自分の何が不自由なのかが見て分かりづらいようで、「何で車いすに乗っているの」や「ふざけるんじゃないわよ」等言われたこともある。 D 学校でいじめられたことが嫌だった。学校では先生のいないところでひやかされたり、いじめられた。先生には言えなかったし、気付いてくれなかったので助けてくれなかった。 ●家族や周囲の人との関わりについて、その他の意見 @ 具体的なエピソードは思い浮かばないが、今の自分があるのは周りの人が支えてくれたおかげだと思っている。 A 自分は中途障害で、障害を負う前と現状とで大きなギャップを感じている。特に大きく変わったと思うことは、対等に接してくれるかそうでないか。障害のあるなしに関わらず、対等な人間として関わってほしい。 事前アンケート問5 事例検討についての委員意見   ≪事例≫ Aさん(35歳、男性、知的障害) Aさんは、グループホームで生活しています。生活費はグループホームのB職員が管理しています。 生活費のほかにAさんが自由に使えるおこづかいがあります。おこづかいは月1万円です。いつもお菓子やCD、本)を買うのに使っています。 ある日Aさんは「おこづかいの貯金が3万円あるから、3万円の、大好きなアイドルのDVDセットを買いに行くよ。」と、B職員に話しました。 すると、B職員に「無駄遣いはよくない」と止められてしまいました。 ≪以上の事例についての委員意見≫ ●質問1:「あなたがAさんならどう思いますか」について @ お小遣いの1万円を使うのではなく、貯金の3万を使うのだし、まして大好きなアイドルのDVDが自分にとってどれだけ価値があるものか、この職員はわかってくれているのか疑問に感じる。また、これを「無駄遣い」と言うB職員は、いったい何に無駄遣いするのか、とも思う。 A 貯金したお金は好きなものを買うためにある。他の人から見たら“くだらない”と思うものでも本人にとっては“大好きなもの”であり、そういったものは障害の有無とは関係なく、誰にでもある。その気持ちをB職員にも汲んでもらいたい。 B 自分がほしいと思ったならば自分で必要と思ったことに使うべきだ。 C 個々人が感じる価値は大切にしたい。「無駄遣い」と決めつけられてしまうことに対して憤りや怒りを感じる。 D 自由に使えるお金なのだから、職員がとめるのはおかしい。 E 買いたいと思うものを止められるのは嫌だ。    ●質問2:「Bさんはなぜ、止めたと思いますか」について @ 安全策だと思って止めたのではないか。 A 生活費だけでなく、お小遣いや貯金も管理するのが職員の仕事と考えたからだと思う。また、そのDVDを買うことの価値観が理解できなかったのではないか。 B いつも、お小遣いで買っているから止めたと思う。 C 先々にお金が必要なことが出来るかもしれないので、貯金全てを使ってしまっては本人のためにならないと考えて止めたのだと思う。 D 3万は大金なので、計画立て使うことが大切だと思って声をかけたのではないか。 E お金を大事に使ってほしかったから止めたのではないか。 F 金額が高いし、お金の大切さがわかってないと思って止めたのだと思う。 ●質問3:「あなたならこんなときどうしてほしいですか」について @ 「無駄遣いはよくない」とだけ止められるのではなく、分かりやすく説明や相談をしてほしい。そして無駄遣いをさせてほしい。そこから失敗する体験をさせてほしい。学ばせてほしい。生きたお金の使い方、自己決定をさせてほしい。失敗することや学ぶ権利を与えてほしい。 A グループホームで生活している方はある程度社会的なことが出来る方も多いと思うので、自分の楽しみは理解してほしいと感じる。 B 先のことを考えてくれるのは有り難いが、自分のお金は自分が決めたことに使わせてほしい。価値観は人によって変わるので、職員の価値観が正しいとは言えない。 C 「無駄」という言葉はやや乱暴で、指導的。「気持ちはわかるが3万は大金なので、少し一緒に考えよう」など言い方の工夫の余地があるはずである。 D 自分で貯めたお金なのだから、止めないでほしい。 E 自分はどうしてもほしいということを伝えて、ちゃんと話し合ってから決めたい。 F ほしいものは買いたいけど、買ったらお母さんに怒られると思うと買えない。 ≪まとめ≫ ・お金の使い方については、「お金の使い方は自分で決めたい」「自分の価値観や考えを大切にしたい」という意見と、日頃から関わっている支援がいる場合は、「話し合って決めることが大切である」という意見を多く得た。 アンケートに関する自由意見 @ 昔のことを思い出すのは難しかったが、嬉しかったことより嫌だったことの方がよく覚えていて気持ちが落ち込んでしまった。 A 嬉しかったこと・嫌だったことについては、その人の性格によるところが大きいような気がした。 B 地域で暮らしている中で、元気だった時と今とを比べてなぜこれほど違うのかと、自分の人権というものについて考えることが増えた。弱い立場だと自分の意見は簡単に踏みにじられてしまう。業者とのやりとり等の場面など、障害をもったことで、相手と対等でなくなったように感じることも多い。 C 同じ障害や立場でも価値観は異なる。障害と言っても色々な障害があり、他の障害者を理解するのは大変難しいことだと思った。 D グループホームでの生活については、生活費の管理者である“職員の支援”と“利用者の権利”の主張の線引きはどこなのか、専門家に教えてほしい。 E (参考資料の提供について)これは10年前に自分が書いた、「REVIEW(レビュー)」という雑誌に掲載された記事。内容は10年前に書いたものだが、障害者の置かれている立場や権利については、今とあまり変わっていないなと感じた。 F 質問5のケースについては、権利と金銭管理と言う分かりやすいケースだったが、やはり財産権は大切で、守られながら、気持ちよく暮らしたいものだと感じた。権利について考えることと気持ちよく暮らせることを考えることのつながりについても、このアンケートを通じて考えるようになった。 【議題3:障害当事者部会の振り返り】  ●「各回で話し合われた議題について感じたことや、1年間部会に参加した感想」についての委員意見 @ 部会に参加できたことはとてもいい経験になった。サポートしてくれる人がいて、安心だった。 A 内容が難しいと思った。アンケートを答えるのが難しくて時間もかかったけれど、部会で自分の気持ちを伝えることが出来たことが良かった。 B 今年度はあまり思うように自分の意見が言えなかったので、今後は意見が言えるようになりたい。 C 一言で障害といっても、様々な不自由さであったり考え方があると思う。当事者部会が立ち上げられたことは、そういった生の声を汲み取るための貴重な第一歩であり、価値があると感じている。 D 外出自体が身体的にもかなり厳しく、ここへもサポートがなければ来ることが出来ない。だが、ここに来られない人も当事者である。外へ出られない状態の方々の声にも光をあてられるよう、IT技術の工夫等、声なき声を吸い上げるための方策が少しずつでも進んでいってほしい。 E 他の障害者の意見や環境を知ることが出来て良かった。他の障害についての知らなかったことがたくさんあり、それぞれ大変なんだということを感じた。 F 部会に参加された方々の生活の悩みや楽しみ・希望などが聞けて良かった。他にも様々な障害を持った方がいると思うので、そういった方の意見が聞けるような場が、この部会だけでなく広がっていくと良いと思った。 G アンケートを利用する方法はいいと思う。当事者の生の声が親会や文京区に届き、区政に反映できるようになるといい。   ≪まとめ≫   ・アンケートに関しては、委員の方が事前に意見について考えてこられること、また、事務局としても事前に委員意見を伺うことができスムーズな運営につながることがあるため、次年度も継続していきたい。   ・内容について難しかった、意見が言えなかったというような意見もあったが、どの委員の発言にも大切な視点があった。どの意見についても重く受け止めていく。      3 その他 (1)権利擁護専門部会への説明について  ・3月の初旬に実施     ・これまでに他専門部会に出席していない方を中心にお願いする(日程が決まり次第連絡)。都合がつかない場合は、小和瀬部会長と相談し、決定する。      (2)自立支援協議会(親会)への出席について     ・3月25日(火)10時から     ・部会長に出席していただく。     ・傍聴も可能であるので、興味のある方はご参加ください。      (3)来年度の障害当事者部会について     ・今年度の委員任期が1年のため、3月末で任期満了となる。2月より再度公募をかけるので、公募委員の方は、お手数ですが各自再度申し込みをしていただけるとありがたい。 以上、閉会。